今ではすっかりYOKAアウトドア家具シリーズの特徴となっている、ベルト。パーツ同士をベルトで留めて持ち運び、組み立て後に同じベルトを補強に使う。我ながらイカしたアイデアだと思っています。
が、実はこのアイデア、最初からスッと決まったわけではありませんでした。
ベルトの機能の一つである「パーツを留めて持ち運ぶ」というのは、最初のころに思いついていました。が、実は思いついていたのはそこまでだったんです。
本体の話にちょっと戻ります。
プレイデコの構造を家具に応用し、全て板材からできた家具を作ったら、組み立てとバラシが簡単にできる!と思ったんですが、実際に試作を進めてみると、今までの構造そのものではだめで、新しい仕組みを考えないといけないことが分かってきました。
プレイデコは、パーツの突起を別のパーツの穴に刺して、それがしっかりはまっていることで、構造を維持しています。一回差したら抜かない、というのが原則です。なので、ある程度はめ合わせをキツくすることで構造を強くすることができます。
しかし、YOKAで実現しようとしているのは、「組み立てて、ばらせる」ということ。アウトドア用ですからね。持ち運んで、組み立てて、また持ち帰ってこないといけません。
プレイデコの仕組みのまま、突起を差して、抜けるようにすると、ひっかかりがなくてすぐにバラバラになってしまいます。そこで、形状を少し変えて、差し込んだ上に、引っ掛かりをつけることにしました。こうすれば抜けてしまうこともなく、またスリットが噛むことで構造的にも強くなります。
これとは別にテーブルなど、スリット同士を組み合わせて天板を乗せるだけという構造のものもありますが、これらの欠点はどちらも重力を使って形を保っているので、重力の逆方向に力を加えると、つまりテーブルなら例えばテーブルを運ぼうとして天板を持ち上げると…外れてしまいます。さてどうしたものか。
そこで、まとめる役割として考えていたベルトに目が行きました。
それまでは、本体を使用している間、ベルトはちょっとした邪魔モノ扱いと考えていました。無くさないためには、どこかにしまっておくか、本体に巻き付けておくか。
巻きつけて…
あ!
本体に巻き付けるようなかたちで天板や座面の外れを抑止したら、ベルトが邪魔になることなんてなく、むしろ役に立つものに。こ、これだ!!
ということで、木の板&ベルトの最強タッグが生まれたのでした。
当たり前のように機能に組み込まれており、そして分断不可能だと思えるこのベルトのアイデアが、こんなにも危うい橋を渡って完成したなんて。自分でも思い出して怖くなります。笑