プレイデコ方式で家具を作る、ということに決めたものの、そっくりそのままのやり方で作れるわけではなく、やはりいくつか乗り越えなければいけない点がありました。
まず1つ大きな違いは、プレイデコは組み立て後にもう一度バラすことは想定していない、というところ。スリットとスリットでがっちりハマって、取れにくいように作っています。でも今回キモになるのは、イケアの家具のように組み立てて完成、という一方通行でなく「ばらせる」ということ。しかも簡単に、何度でもそれが繰り返せる事がキモになります。でもまあ、これは構造を考えれば済む話なので、なんとかはなります。
そしてもう1つのポイントは場合は、「実際に、人が使うもの」だということ。当たり前ですけど。「おもちゃから生まれた家具だから」なんてことが、強度が無いことやグラグラすることの言い訳になるわけがありません。仕組みは同じようでも、「おもちゃから、道具へ」という意識の転換を迫られることになったのでした。
さて、
家具を作るなかで、まず作り始めたのは、椅子でした。
「珍しいですね(普通はテーブルを作ろうとするのに)」と言われたこともあったんですが、アウトドアに自分の場所を作る、と思った時の起点はまず椅子なんじゃないかと思ったんですね。
で、椅子を作るなら当然ながら、「椅子の形をしている」だけでなく、そこに実際人が座って、過ごす、ということを考えなければなりません。そう考えると、最初の製品で実はものすごく高いハードルを設定してしまったのかもしれませんが…
・組み立てが簡単
・バラすのも簡単
・持ち運びができる形状である
・人が座って実際に快適に使える
・家具としての強度がしっかりある
これを実現するという目標に向かって、まずはスチレンボードで試作します。前回話に出てきた木工職人比嘉さんと、模型をみながら話し合い、そのフィードバックを反映、また試作。これぞというものは実際に試作を作ってもらい、実物に座ってみて、さらに角度を調整し…!と、アホかというくらい試作を繰り返しました。
そして、これぞ!という形がだんだん出来てきたのですが、肝心の工場がまだ見つかりません。プレイデコでやっているような型抜きで抜けるわけではなく、NCカッターという機械で切り抜かないといけないのですが、その工場の見積もりが高いものばかり。作業賃が「家具の売値か!」というくらい高くなってしまう(しかも、切り出すだけで)ところもあり、メイドインジャパンの怖さを知った次第なのですが…比嘉さんからの紹介紹介と渡り歩いて、ようやく現在作ってもらっている「佐藤工芸」さんという工場にたどり着きました。
ちょうど、NCカッターを使った量産品が出来ないか?ということを佐藤工芸さんも考えてらしたとのことで、お互いの思いが一致。工場生産の第1歩を踏み出すことができたのでした。