さてさて、家具の話です。
僕はグラフィックデザインを学び、ゲームデザイナー、キャラクターデザイナーを経て紙工作の世界へ。その延長上で現在木の組み立ておもちゃを作っている、という人間です。その途中で音楽に行ったこともあるし、といろいろなことをやってきてはいるものの、正直家具は作ったことがありませんでした。
アイデアとしてざっくり「家具」というものはあったものの、実現していけそう、と思っていたのは小物ばかりで、その時は家具は優先順位の低い、可能性の1つという位置づけでした。
そんな折、偶然か必然か、別件で「にちようひん」の比嘉さんという家具職人を紹介していただく機会があったんです。
「家具職人さんて、家具作れるんですよね!?」などというトンチンカンな質問から始まり、いろいろやりたいことを共有していく中で、「アウトドア用の家具を作る」という、それまでハードルの高かった課題が一気に身近になってきました。
しかし、ここで一気に現在のような形ができたわけではありません。
当時は今のような板の組み合わせではなく、普通に、いわゆるアウトドア家具を作ろうとしていました。
その時考えていたのは、木と布を使い、リラックス感のある椅子。そして、それがもつ特徴として、「たたむとフラットになり、しかも布部分が絵画のようになって飾れる」というもの。
アイデアを思いついたときは「キター!」と思いましたね。で、いつものようにスチレンボードを持ち出して試作をしていきます。課題はいくつもあり、しかしそれを乗り越えて、最良の形態にたどり着いた時…!!
見つけてしまったんです。アリババにほとんど同じような形のものがあるのを。しかも数千円。
パソコンの画面を見ながら、5分くらい凍結しました。
…それで悟りました。
このアウトドアという土俵で、「アウトドアらしい」という文脈の上で家具を作っていたらだめだと。それは単なる後追いにしかならないし、この土俵で、既にいろいろなデザイン提案している人もいれば、既にブランド築いている人もいる。そしてモノによっては、既にコモディティ化している。
この列に並んじゃだめだ。もっと空いている列に並ぼう。
というか、自分だけの列を作ろう!
そして、自分だけに作れる方法はなんだろう?と考えた時にふと目に入ったのが、もともと作っていたPLAY-DECOシリーズ。
「あれ?これでっかくしたら…家具になるんじゃね?」
それが、YOKAのパネルシリーズが生まれた瞬間でした。